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昔はこんな薬もありました 23

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~ オブラート ~



  • このシリーズでは昔の変わった薬や今もある「赤チン・マーキュロクロム」「肝油」や部外品的な品々を取り上げてみました。今回取り上げますのは昔の『オブラート』です。

  • 実は2004年(平成16年)の12月6日に日本テレビの“ 今日は何の日「オブラートを発明した小林政太郎が亡くなった日」 ”という番組の中で、コレクションの中にある昔のオブラートを一部提供させていただきました。
    そんなことから今回はオブラートの歴史とコレクションの昔のオブラートを紹介させていただきます。

  • 事典などで調べますとオブラート(Oblate)とは“ 澱粉などで作った薄い膜状のもので、飲み下しにくい苦い粉薬などを包んで服用する。 その語源はラテン語のオブラトゥス〈oblatus:楕円形〉からきたもの。… ”と紹介されています。

  • オブラートが生まれた年代はかなり古い時代のようで、正確なことは不明ですが、ドイツでキリスト教のミサで使われる祭壇にそなえるウエハースに似た丸い小型の軽焼きせんべいを、薬を服用する際に使ったのが硬質オブラートの始まりのようです。

  • 我国には明治に入ってこのような硬質オブラートが輸入されはじめたようですが、使いずらさと高価な輸入品ということもあって庶民には手の届かない品物でした。
    当時三重県の開業医だった小林政太郎氏は粉薬を簡単に飲めるような使いやすいオブラートを開発するを考え、正月に寒天料理を作っていた際に、熱い鉄瓶にたまたまこぼれて流れおちた寒天の液体が薄い紙片状の広がりに固まって理想に近いオブラートができたことをヒントに明治35年(1902年)に現在でも使われているオブラートの原形を作り上げ商品化へと成功しました。

  • 戦前から戦後にかけてはオブラートは薬用に使われるよりもお菓子、水飴を原料にした飴やゼリー、キャラメルなどの包装に多く使われていましたが、包装技術の進歩によりお菓子の包装としてのオブラートはめっきり使われなくなりました。 また薬の分野でも製薬技術の進歩により顆粒剤やカプセル製剤が普及した結果、全盛期の1950年頃には全国に100カ所以上もあったオブラのートの工場が現在では5カ所になってしまったとのことです。

  • 現在ではオブラートは袋型のオブラートや、さまざまな味をつけたオブラートや、本来のオブラートとは異なるものの嚥下困難な高齢者や薬の嫌いな乳幼児への利便性を考えた液体オブラートなどにも発展しています。

    ではオブラートコレクションをご覧下さい。

オブラート

オブラート

オブラート

オブラート


〔参考文献〕
・株式会社 旭光 ホームページ (www.oblate.co.jp)
・日本テレビ「午後は○○おもいッきりテレビ」 “今日は何の日「オブラートを発明した小林政太郎が亡くなった日」”


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