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薬業界 老舗歴史シリーズ 7

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~ ロート製薬 ~

  • 薬の業界における長い歴史を持つ老舗とも言える会社、伝統あふれる会社にまつわるコレクションを紹介する老舗歴史シリーズのその7、今回ご紹介するのは『ロート製薬』です。

  • このシリーズでこれまでにご紹介した資生堂や参天製薬と同じく今回の『ロート製薬』も薬局がその原点です。 『ロート製薬』というと社名の「ロート」が目薬の商品名になっているため目薬のメーカーとしてスタートしたと思われますが、実は明治32年(1899年)2月22日に奈良県出身の創業者の山田安民(やすたみ)翁が、自ら開発した胃腸薬の『胃活』を製造販売するために、大阪の現在では中央区の東心斎橋で開業した「信天堂山田安民藥房」がその始まりで、つまりは胃腸薬の製造が同社のスタートというわけです。
    胃活
  • この『胃活』は当時の医学・社会の権威者である軍医監達の推薦を得て、また“胃病に胃活、泣く子に乳”のキャッチフレーズで大いに売り上げを伸ばしました。(なお『胃活』は1999年2月に創業100周年記念の期間限定で液状の「パンシロン胃活飲力」として復刻されました。)

  • 一方当時の日本では現代のように道路は舗装されておらず、暖房器具も木炭や石炭など煙や煤(すす)の多く出るものが多く、またトラホームの流行もあり眼病を患う者が大勢おりました。 そこで『胃活』に続く商品として目薬の製品化を計画し、当時ミュンヘン大学のロート・ムンド博士に師事して最新の目薬の処方を譲り受けていた東京眼科病院の井上豊太郎博士の協力のもとに新製品の『ロート目薬』が作られ、明治42年(1909年)4月に発売されました。

  • ロート目薬 ロート目薬 当初新製品目薬の商品名は『胃活』のヒットにあやかって「眼活」とする案があったようですが、ロート・ムンド博士の名前の一部をいただき、当時では新鮮なカタカナ名を使った『ロート目薬』という商品名が誕生したとのことです。
    そして『ロート目薬』は“シマズ イタマズ ロート目薬”のキャッチフレーズで『胃活』に並ぶヒット商品となりました。

  • 『ロート製薬』のHPの企業情報・沿革を見ますと、その後*昭和6年(1931年)には両口式新点眼容器(:薬瓶とスポイトを合体した容器で、それまでの綿棒に染み込ませた薬液を垂らしたり、スポイトで吸い上げたりする手間や衛生上の問題が解決された容器。)の『ロート目薬』を発売、*昭和27年(1952年)には『ロートペニマイ目薬』を発売、*昭和29年(1954年)には胃腸薬『シロン』(:スイス・レマン湖を訪れた山田安民翁の長男、当時の山田輝郎社長がシヨン城の美しさに感銘してその英語読みのシャトー・ド・シロンから命名したもの)を発売、*昭和37年(1962年)には胃腸薬『パンシロン』を発売、*昭和39年(1964年)には目薬『V・ロート』を発売、*昭和48年(1973年)には目薬『なみだロート』を発売、*昭和50年(1975年)には『メンソレータム』の商標専用使用権を取得…と同社の発展は続きますが、次にコレクションから御紹介します2点は、これらの年表からも忘却されてしまったかのような薬です。

    ロート頭痛薬 ロート胃腸薬

    いずれも発売元は「新発売ロート目薬 山田安民薬房」とありますので、昭和6年(1931年)の『ロート目薬』の発売の年から昭和24年(1949年)の山田安民薬房からロート製薬株式会社への改組へかけての、しかも『ロート胃腸薬』は価格が3圓五拾銭とあることから、終戦前後の昭和30年(1945年)あたりまでに作られた製品と思われ、しかもこの『ロート胃腸薬』は『胃活』から昭和29年(1954年)に発売された胃腸薬『シロン』の中間に位置するいわば幻の貴重なロートの『胃腸薬』と思われます。

  • 以上見てきたように現在の『ロート製薬』は伝統に裏打ちされた『ロート目薬』に代表される目薬部門と『パンシロン』に代表される胃腸薬部門、そして『メンソレータム』に代表される皮膚外用薬を三大ブランド支柱とする特徴ある一般用医薬品メーカーといえます。

    ではその他の『ロート製薬』に関連する資料をご覧下さい。

ロート製薬
○賣藥請許可之証(明治32年)
:品目に胃活とあり、明治32年(1899年)は同社の創業された年にあたり、同社にとって記念碑的な書類です。

ロート製薬
○賣藥請許可之証(明治42年)
:同じく品目にロート目薬とあり、明治42年(1909年)は『ロート目薬』の発売された年にあたり、同社にとって記念碑的な書類です。

ロート製薬
○『胃活』チラシ
:上段の文字“東京”が東京遷都の初期の標記の“東亰(とうけい)”と印字されており、明治32年(1899年)以降の早い時期に印刷されたチラシと思われます。

ロート製薬
○『胃活』チラシ

○『ロート目薬』の未使用外箱
ロート製薬
○『ロート目薬』の特売チラシ〔大正10年(1921年)〕
ロート製薬

○『ロート目薬』の特売チラシ〔大正11年(1922年)〕(表裏)
ロート製薬 ロート製薬

ロート製薬
○『胃活』の特売チラシ〔大正11年(1922年)〕

ロート製薬 ロート製薬 ○『ロート目薬』の特売チラシ
  〔大正12年(1923年)〕(表裏)


ロート製薬
○『ロート目薬』吸取り紙〔大正14年(1925年)〕

ロート製薬 ロート製薬 ○『胃活』の特売規定〔昭和5年(1930年)〕(表裏)

○『胃活・ロート目薬』優等団扇特価提供〔昭和5年(1930年)〕(表裏)
ロート製薬

ロート製薬

○『胃活・ロート本舗 山田安民薬房 封筒』(大正・昭和期)
ロート製薬 ロート製薬

○『胃活・ロート目薬』金のなる木×2種
ロート製薬 ロート製薬
○『胃活』木製看板
ロート製薬



〔参考文献〕
・ロート製薬HP
・Wikipedia 「ロート製薬」
・『点眼薬の使い方・点眼薬の歴史』河嶋 洋一 (月刊眼科診療プラクティス)
・『点眼薬の選び方と使い方』   中村 聡  (南江堂)
・『点眼剤 その作り方と応用』  宮崎 順一 (南山堂)


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