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石田散薬の研究 ~ステップ5 薬理調査の結果考察・成分分析結果~

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石田散薬の成分ではないかと考えられる物質が、牛額草をサンプルにした分析でいくつか見つかりました。
牛額草には、特にイソラムネチンという物質が含まれていました。
イソラムネチンは、抗酸化作用の高い物質です。

抗酸化作用とは?

体の中で有害となる物質に「活性酸素」があります。活性酸素は、体内での物質の酸化によって増えますので、 増殖による悪影響を予防するためには、酸化を防いでいく必要があります。

抗酸化作用とは、「酸化に抗う(あらがう)」という言葉通り、細胞膜を安定化させて、細胞内の器官や成分が酸化的に傷害されるのを防ぐ効果のことです。

有害な物質が減ることで、長期的には動脈硬化予防・循環改善・皮膚老化予防などが期待されますが、過剰な期待は禁物です。アスタキサンチンのように大変高い効果を持っているとされる成分もありますが、速効・著効の成分ではないと考えたほうがいいでしょう。たまねぎやイチョウ葉のケルセチンなども抗酸化作用のあるとされる成分です。

牛額草は、昔から民間療法としてリウマチの痛みなどに使っていた経緯があります。 しかしイソラムネチンには痛みを直接とる作用はありませんので、「有効成分」という視点で考えると、「不明」です。

では、石田散薬そのものの成分は何でしょう。

同様にして、調べてみました。

結果
復刻した石田散薬については、成分を特定できる結果がでませんでした
クロマトグラフィーに明確なスポットはなく、成分を特定することができなかったのです。
この結果は、次のように考えられます。
  A 復刻版そのものの製造過程、特に黒焼きの部分で成分検出できる状況ではなくなった。
  B もともと、特定できる範囲の成分は何も含まれていなかった。
原材料であるミゾソバの成分としてイソラムネチンが検出されているので、Bはありません。
本来誰でも作れるようになるはずの原書に沿って作成しても成分がみつからないということは、一子相伝の技によるところが大きいのかと考えましたが、昔から、作り手によって作り方にはまちまちの部分もあったという話ですので、単純に「測定できなかった」ととらえるのが正解のようです。

参考

雑多な成分から有効成分が特定できないままに使用されているものは、現代でもいくつかあります。
例えばヨーロッパで医薬品として用いられているハーブサプリメントのエキナセアは、未だ有効成分が特定されていません。エキナセアは、多糖類やアルキルアミドなどが有効成分ではないかと推測されているだけです。

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