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今は昔 売薬歴史シリーズ 19

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~ サロメチール ~


今も根強く人気の続く伝統薬の“今と昔の姿とその良さ”を伝える伝統薬シリーズ十九回目、今回は『サロメチール』を御紹介いたします。


◎『サロメチール』 = 〖サロメチール〗

  • 昔中学、高校当時の修学旅行や受験勉強の時などには眠気を追い払うため、この〖サロメチール〗をこめかみに塗ったものです。

    もちろん『サロメチール』はそんな目的に作られたわけではなく、大正10年(1921年)にそもそも神経痛やリウマチ(ロイマチス)として開発された外用鎮痛消炎剤でした。

    1920年頃塗って痛みを静める薬として評判だったフランスの「ボーム・ベンゲ」という軟膏に注目した当時の田邊元三郎商店(現田辺三菱製薬)ではその主成分がサリチル酸メチルであることを見出だしサリチル酸メチルが主成分の外用剤の研究に着手、また粉石鹸を基剤としたベトつきの少ない軟膏剤を開発しました。

    そして大正10年にはサリチル酸メチル主成分の外用鎮痛消炎剤『サロメチール』を発売しました。この『サロメチール』という名前の由来はサリチル酸のサにロイマチスのロとメチルを合体したものです。

    大正13年(1924年)には『サロメチール』初の新聞広告を名古屋新聞に掲載、昭和8年(1933年)には雑誌で『サロメチール』がランニングや剣道、野球などのスポーツに役立つことを宣伝しました。

    それらの効果もあって昭和12年(1937年)に後楽園球場が開設されると外野席に初のフェンス広告を掲示、一層のスポーツでの利用が進められました。

    『サロメチール』の90年間の歴史のなかでは製造元は田邊元三郎商店から東京田辺製薬、田辺三菱製薬、三菱ウエルファーマへと移り、発売元も現在では佐藤製薬となりラインアップもソフト、ローションタイプ、ゲルタイプ、スプレータイプ、インドメタシン配合タイプなど8種類に増えていますが、主力商品の〖サロメチール〗は現在でも田辺三菱製薬が製造を行っています。

  • では『サロメチール』コレクションをご覧下さい。
    なお運動による筋肉痛や打撲、捻挫、肩凝り、リウマチ(ロイマチス)、頭痛、歯痛、咽喉痛、皮膚のかゆみ、感冒性関節炎などの効能は戦前も今の製品も変わりません。

    (1)(2) 『サロメチール』チューブ入り10瓦・25瓦
       :戦前のチューブ入りの製品ですが、納書には80ccの液状の製品や競争馬用の250ccの液状製品が紹介されています。
        サロメチールというと現代では強い刺激というイメージの赤いパッケージの赤いチューブという印象ですが、昔はパッケージは緑色でした。
(1)(2) 『サロメチール』チューブ入り10瓦・25瓦
   :戦前のチューブ入りの製品ですが、納書には80ccの液状の製品や競争馬用の250ccの液状製品が紹介されています。
    サロメチールというと現代では強い刺激というイメージの赤いパッケージの赤いチューブという印象ですが、昔はパッケージは
    緑色でした。
『サロメチール』
10g入り
『サロメチール』
25g入り
『サロメチール』

(3) 『サロメチール』瓶入り100瓦
   :戦前の瓶入りの製品ですが中身の主成分のサリチル酸メチルの独特なにおいは今も残っています。
    たぶん純度のよいサリチル酸メチルを使っていたのだと思われます。
『サロメチール』
100g入り
『サロメチール』
現代の製品



〔参考文献〕
・インターネット     フリー百科事典 『ウィキペディア Wikipedia』
・インターネット     佐藤製薬HP

〔現代の製品提供〕
・立川市 中野薬局  中野 佐紀子 先生


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