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今は昔 売薬歴史シリーズ 17

オゾ へ ≪  ≫ 太乙膏 へ
~ トフメル ~


今も根強く人気の続く伝統薬の“今と昔の姿とその良さ”を伝える伝統薬シリーズ十七回目、前回は万能皮膚薬の『オゾ』を取り上げましたが、今回は『オゾ』に負けず劣らず比較的マイナーな存在ではありますが、しっかりと顧客のついている塗り薬の『トフメル』を御紹介いたします。


◎『トフメル』 = 〖トフメルA〗

  • 今回ご紹介しますのは『トフメル』です。
    『トフメル』を製造している「三宝製薬」は昭和7年(1932年)に「トフメル本舗」として東京市新宿区百人町に創立されました。
    創業者の渡邊久吉は兄が開業していた病院を手伝うかたわら、病院の経営を助ける目的で、病院で作っていたいろいろな皮膚症状に効き目のあると評判の外用薬「赤軟膏」を家庭常備薬として売り出すことを思いつきました。
    当初は兄に反対をされましたが説得の末売約許可を得、〔塗布する〕のトフとmelt(溶けるの意)のメルトを併せて「トフメル」と名付けて売り出しました。
    当初は浴場に売り込み番台で販売することから始まりましたが、特約店方式(:販売店は定価販売を守ることでメーカーは近隣には新規取引先をもうけないやり方。)により薬店そして薬局へと販路を広げ現在の基礎を作りました。
    〖トフメルA〗は酸化亜鉛、dlカンフル、細菌感染を防ぐクロルヘキシジン、そして精製ラノリンからなる薄赤色の軟膏です。その効き目のポイントはヒトの皮脂の成分に近い組成である基剤のラノリンにあります。
    〖トフメルA〗適応症は“皮膚の殺菌・消毒、やけど、すりきず、きりきず、刺傷、ひび、あかぎれ、しもやけ”などですが、『オゾ』と同じように認可されている効能以外の効き目も消費者の間で研究開発されているようで、お化粧の下地クリームとして使ったり、収斂作用(小じわをのばす作用)により薄く肌に塗ることでお化粧の仕上がりがきれいになったり、寝たきりの方の肌荒れや床ずれ、オムツかぶれ皮膚炎やアトピーにも使われ、魔法の薬として親しんでいる保育園などもあるとのことです。

  • では『トフメル』コレクションをご覧下さい。
    :いずれも戦前の『トフメル』です。

『トフメル』

現代の製品
『トフメル』



〔参考文献〕
・インターネット伝統薬ロングセラー物語

〔現代の製品提供〕
・昭島市 十字堂薬局 荻野 祥子 先生


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